床暖房は、快適な室内環境を実現するための効果的な暖房システムとして、多くの家庭で利用されています。この記事では、床暖房の仕組みやメリット、デメリット、そして巷で囁かれているウワサは本当なのか、詳しく解説します。さらに、床暖房のリフォームや適した床材、価格や工期、メンテナンス、補助金の活用方法など、快適な床暖房環境を実現するためのヒントを提供します。
新築を予定している方もリフォームをお考えの方も、ぜひ参考にしてください。
目次
床暖房とは?
床暖房の仕組み
床暖房は、床下に設置された発熱体(ヒーターケーブルやパネル)を通じて床全体および室内を暖かくする暖房システムです。ヒーターやエアコンなどと並んで、一般住宅に取り入れられています。
床暖房は「ふく射」「伝導」「対流」の3つの作用によって室内を暖める仕組みです。「ふく射」は、遠赤外線が壁や天井に反射し空間全体を暖める現象のことをいいます。「伝導」は、熱が物体を直接暖める作用で、「対流」は暖かい空気が循環することで熱が伝わる現象です。床暖房はこの3つの作用により、室内を暖めます。
このシステムは、床から上昇する暖かい空気によって部屋全体が均一に暖められるため、立っていても座っていても部屋の暖かさを実感しやすく、優しく心地よい暖かさで室内を快適にしてくれます。
床暖房の工事には、床下に配線やパネルを設置する作業が含まれます。
電気式 | 電気によって動くヒーターパネルを床下に敷き詰める |
温水式 | ガス給湯器(熱源機)で温めた温水で床を温める |
床暖房のメリット&ベネフィット
- 床暖房が冷たい床を暖めるので、足元からぽかぽか温まる。血行を促進するので体の冷え対策になり、裸足でも快適。
- お掃除がラク。暖房器具のように場所をとることがないので、片付ける必要がなくお掃除が簡単。
- 乾燥しにくい。冬は加湿器が欠かせない時期ですが、温風が出ないため乾燥しにくいので、健康と美容にも◎
床暖房のデメリット
- 初期費用が高いこと
- 暖まるまでに時間がかかる
- 低温やけどする可能性がある
床暖房にまつわるウワサは本当?
- 床暖房は体に悪い?→人体への悪影響はありません。むしろ「頭寒足熱」の状態となり、体にとって良い状態になります。ただし、やけどには気を付けましょう。
- 水道代が高くなる?→温水を循環して使用しているので、水道料金が高くなることはありません
- 寒冷地だから床暖房じゃ不十分?→住宅の断熱性能が次世代省エネ基準(Ⅰ地域1.6W/(m2・K)、II地域1.9W/(m2・K))を満たしていれば床暖房で部屋は暖まります。
床暖房の注意点
リフォームの際の注意点
床暖房をリフォームする際に注意すべきポイントはいくつかあります。まず、施工時に適切な専門家や業者を選定することが重要です。また、床暖房システムの適切なメンテナンスや、工事後の床の管理にも注意が必要です。
床暖房使用時の注意点
赤ちゃんがいるご家庭は床暖房が入ったままの床に直接寝かせないように注意してください。低温やけどする可能性があります。
床暖房に適した床材
床暖房に適した床材は、床暖房専用のフローリングです。普通のフローリングとは違い、フローリングの板の横にスリットが入っています。このスリットにより、木の伸縮を少なくしています。
反対に、無垢のフローリングは適していません。木の中の水分量が熱によって変化し、床に隙間・反り・割れが出てしまうからです。
ただ、近年は床暖房のニーズが拡大しており、無垢材でも床暖房に対応したフローリングも出てきています。通常のフローリングとは異なった加工や乾燥工程を経ることで寸法安定性を高め、床暖房にも対応できるようになりました。ただし、木が痩せてきたり反りが出るリスクがあるので、おすすめはできません。
床暖房はリフォームで後からつけられるのか?
結論としては可能です。
上張りか、張替えか?
上張りがおすすめです。
今お使いの床が普通のフローリングであれば、その床の上に床暖房専用のフローリングを張ることでリフォームが可能です。
既存の床が床暖房の場合にも上張りが可能です。ただし、既存の床に厚みがある場合には床暖房の効きが弱くなる可能性があります。
張替えはおすすめできません。やってできないことはありませんが、既存の床を剥がす作業をする際に床暖房のシステムを破損させる恐れがあるので、やめておいたほうが無難です。図面があれば避けることはできなくはないですが、よほどの覚悟がない限りは上張りの方がコスト・工期ともに優れています。
工期と価格
床暖房工事の価格と工期については、一般的には工事の規模や設置する床の面積などによって異なります。一般的な費用と時間の目安を知るためには、複数の業者から見積もりを取ることが重要です。また、床暖房を後から設置する場合に費用を抑える方法もあります。
弊社で工事する場合には、20畳フローリングに直貼りする工事で工期はおよそ2日です。
床暖房対応フローリング自体の価格は、普通のフローリングと比較すると、一部屋あたり数万円高くなるようなイメージです。家具を温めないよう、壁際の20~30cm前後はあけて施工します。その段差の解消のためにダミー合板を入れる手間賃として、そのような価格になります。
メンテナンス
床暖房システムの定期的な点検・メンテナンスが重要です。それにより、システムの効率が保たれ、トラブルの発生を防ぐことができます。
故障した場合や定期的なメンテナンスは建設業者やメーカーなど専門業者に依頼することをおすすめします。
床暖房はめったに壊れることはありません。ただし、もしも壊れたまま放置していたりすると売却時に大きな影響が出ますので、不具合があった場合にはメーカーなどに見てもらうようにしましょう。温水式床暖房の熱源は10年ほど経過すると修理が必要になる場合もあります。
また、工事後によくある問題やトラブルの解決方法についても理解しておくことが重要です。
床暖房設置に補助金は使えるのか?
断熱リフォーム支援事業や子育てエコホーム支援事業、長期優良住宅化リフォーム推進事業など活用できる可能性がある補助金はいくつかあります。ただし、年度やそのときにより内容が変更になる可能性があります。
各自治体でもリフォーム工事に補助金や助成金制度を用意している場合があります。床暖房リフォームに補助金を利用することができるかどうかは、地域や補助金の規定により異なります。補助金の有無や利用方法については、地方自治体や関連機関のウェブサイトなどで情報を確認することが必要です。また、補助金を活用した床暖房リフォームの事例も参考にすることができます。
電気代の高騰が続いています。助成金が使えるような高性能で耐久性が高いお家なら、長期的にみれば家族にも家計にも地球にも優しく、メリットが多いということです。補助金や助成金制度を有効活用して、理想のお家づくりを実現しましょう。
施工写真
まとめ
床暖房は、住宅の中でもめったに壊れることのない頑丈な設備です。温水式床暖房はおよそ10~30年、電気式床暖房であれば半永久的につかうことができ、快適な室内環境を実現するための鍵となります。そして補助金や助成金の活用を検討することで、費用を抑えながら快適な床暖房を設置することができます。
リフォームの際には注意点を押さえ、適切な床材を選定することも重要です。これらのポイントを押さえて、快適な生活空間を手に入れましょう。