「長尺 塩ビシート」の特徴と用途解説!建築業界の注目素材を徹底解剖

「長尺 塩ビシート」の特徴と用途解説!建築業界の注目素材を徹底解剖

建築関係の素材、とりわけ床材の種類はたくさんあり、名前を聞いても何を指しているのかわかりづらいと思います。この記事では、建築業界で注目を浴びる「長尺 塩ビシート」の魅力を徹底的に解説します。たくさんの選択肢がありますが、その特性や用途を理解することで効果的な選択が可能となります。性能や特徴を知って、長尺シートを効果的に使いましょう!

長尺シートって何?特徴を解説

長尺シートって何?特徴を解説

上の図にあるように、プラスチック系の床材の中には、シート状のものと、タイル状のものがあります。シート状のものをビニル床シート(塩ビシート)と呼びます。タイル状のものはビニル床タイル(塩ビタイル、またはフロアタイル)と呼ばれています。塩ビシートと塩ビタイル、どちらも合成樹脂(プラスチック)でできています。

塩ビシートはフローリングと違い、値段がリーズナブルです。また、施工性が良く、工期短縮につながります。お客さんにも職人さんにもありがたい商材です。

塩ビシートには、クッションフロアシート(CFシート、CF)と、長尺ビニル床シート(長尺シート)があります。他にもたくさんの種類があります。今回は、長尺シートに焦点をあてて解説していきます。

ビニル床シート(ビニールシート、塩ビシート)、長尺ビニル床シート(長尺シート)、クッションフロア(CFシート、CF)はどれも同じ素材「ポリ塩化ビニル、(Polyvinyl chloride (PVC)」を原料としたものを指しています。使用用途に応じてシートが販売されています。塩ビシートの中でも、長いものを長尺シートと呼びます。(同じものがいろいろな呼び方をされているものもあるので、ややこしいですね。上の例でいうと、ビニル床シート、ビニールシート、塩ビシートは全く同じものです。)

長尺シートは学校や病院、オフィスビルやマンションの共用部などでの施工例も多いので、見たことがあるかもしれません。燃えにくく、耐久性・耐水性に優れており、公共工事でもよく使われています。また、機能性が高く、さまざまなタイプがあります。デザイン性が高い製品が増えつつあるのも嬉しいポイントですね。

塩ビタイルと塩ビシートはどう違う?用途を解説

塩ビタイルと塩ビシートは、どちらも塩化ビニール(塩ビ)を原料とする素材ですが、形状や用途が違います。塩ビタイルは通常、小さなタイル状の床材で、細かい場所に適しています。店舗の内装として使われることが多いです。飲食店の床、雑貨店や洋服店の床、エステやネイルサロンなどの床などです。最近では住宅の玄関などにも使われるようになりました。

床材としてだけではなく、壁や天井に使用されることもあります。加工がしやすいため、賃貸住宅のリフォームやDIYでも多く使われています。

塩ビタイル

塩ビタイル 参照:SINCOL

一方、塩ビシートは大きなシート状の床材で、広い範囲に一気に張るのに適しています。

長尺シート

塩ビシート 参照:SINCOL

クッションフロア(CF)vs. 長尺シート!

クッションフロア(CF)と長尺シートは、床のカバリング材料として使用されますが、特性が違います。

クッションフロアはその名の通り、柔らかなクッション性を持ち、歩行時の快適さを重視した素材です。素足でも歩けるので住宅用として多く使われています。キッチンや洗面所、トイレなどはクッションフロアにしておくと、汚れや水滴がついても浸み込まないので跡が残りにくいです。DIYでの施工も可能です!クッションフロアを貼ったあとは、湿気がこもらないように換気を心がけましょう。

クッションフロア

クッションフロア 参照:TOLI

一方、長尺シートは店舗、ビジネスホテル、公共施設など不特定多数の人が訪れる場所によく使われており、広いスペースを効果的にカバーすることに適しています。クッション性はほとんどありませんが、長尺シートは表面の層が厚く、耐久性や防水性に優れています。クッションフロアと違い、重いものを置いても凹みません。また長尺シートはクッションフロアと比べるととても重く硬いため、施工がしにくいです(なんと一巻き1,800mm×9mで約60kg!)。

長尺シート

長尺シート 参照:TOLI

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長尺シートの種類とそれぞれの特徴

長尺シートにはさまざまな種類があり、それぞれ特徴が違います。例えば、屋外使用に適した防水タイプ、内装に使うデザイン性の高いタイプ、耐摩耗性が求められる工業用タイプ、体育館やスポーツフロアに使う衝撃吸収性の高いタイプなどがあります。選ぶ際には、使用する場所や目的に応じて適切な種類を選ぶことが大切です。

単層シート

床材のシートの断面が単層構造になっています。硬質で耐久性が高く、土足で歩く店舗や事務所などでも使われています。

単層シート

単層シート 参照:TOLI

防滑シート

防滑シートは、表面に特殊な加工を施した長尺シートです。その名の通り、滑りにくい特性を持っており、安全性を重視する場所で活用されます。屋外の階段や床、マンションのエントランス、廊下やベランダ、施設の玄関などでよく使われています。湿気の多い浴室の床面や厨房、プールサイドなど、滑りやすい状況での使用に適しています。特殊な凹凸や素材の組み合わせによって、優れた防滑効果を発揮します。

防滑シート

防滑シート 参照:TOLI

フロテックスシート

フロテックスシートは、クッション性とメンテナンス性を重視した長尺シートです。表面には短いカットパイルを高密度に植毛してあり、カーペットのような柔らかい踏み心地です。施工後の伸び縮みが起こりにくいのが特徴。汚れにくく、水とブラシで洗うことが可能で、お手入れ簡単。乾きやすいので、水洗い後も滑りにくいです。カーペットなのに滑らかにキャスターが動くので車いすでも快適。衝撃吸収性が高いので、万が一転倒しても衝撃をやわらげることができます。抗菌剤「サニタイズド」が抗菌効果を発揮します。飲食店でよく採用されています。

フロテックスシート

フロテックスシート 参照:sangetsu

エスリューム

エスリュームは、抗ウイルスや消臭、耐薬品性、耐動荷重などの機能で、各種施設でのさまざまなシーンに対応する汎用性の高い複層の長尺シートです。機械の移動や荷物の運搬が行われる場所に適しており、長期間にわたって美しい外観を保ちながら優れた性能を発揮します。耐久性が求められる環境で頼りにされる素材です。

エスリューム

エスリューム 参照:TOLI

価格を比較!

タイプ 価格の目安(㎡単価) 備考
クッションフロア

2,200円~4,500円/㎡

 

工事費を含めると、0.5畳のトイレで1~2万円。2畳の洗面所で3~4万円。
トイレや洗濯機などを動かす場合は別途費用がかかるケースがあります。
長尺シート

3,800~6,000円/㎡

面積が大きいところであれば、工事費込み。面積が小さいところは一式でだすので工事費は変わります。住宅で使う場合は単価が高くなります。

具体的な工事費を知りたい場合は、業者に見積もりを依頼することをおすすめします。業者によって料金設定やサービス内容が異なるため、複数の業者から見積もりを取ることで、適切な価格を把握することができます。また、工事費に含まれるサービスや保証内容も確認しておきましょう。

長尺シートのメンテナンス方法

長尺シートのメンテナンスは比較的簡単です。普段のお手入れとして、砂やホコリはほうき、掃除機で取り除いてください。汚れは、デッキブラシ等で取り除いて下さい。汚れが取れにくい場合は、水拭きモップ掛けを行ってください。ひどい汚れが付いた場合は、中性洗剤(台所用洗剤)を使った水拭きが効果的です。適切なメンテナンスをしていれば、ほとんどの汚れは日常のメンテナンスで落とすことができます。

日常の掃除でも床材表面に汚れが目立ち始めたら、月に1度程度を目安に表面を洗浄をしてください。汚れに応じて中性洗剤またはアルカリ洗浄剤(住宅用洗剤)を使い、スポンジ、ブラシ、ポリッシャーなどで掃除してください。床に傷がつかないよう、注意しながら行ってください。床表面の汚水を回収し、乾く前にきれいなモップで十分に水拭きして汚水を完全に拭きとり、乾燥させます。ワックス不要タイプの長尺シートも増えていますが、そうでないものであれば必要に応じてワックスを剥離し、塗布してください。凹部にワックスが溜まらないように、均一に薄く塗布してください。

汚れの種類 洗剤の用途
日常の汚れ 中性洗剤(台所用洗剤)
ガンコな汚れ アルカリ性洗剤(住宅用洗剤)

お掃除を安全に行うために、用途や使用場所をよくお確かめの上、洗剤をお選びください。
適切なメンテナンスをして、長尺シートの美しい状態をキープしましょう。

まとめ

色味、耐久性、燃えにくさ、メンテナンス性、掃除のしやすさなど、床材を選ぶポイントは数多くあります。

長尺 塩ビシートは、床材の選択において耐久性とデザイン性を兼ね備えた優れた選択肢であることがわかりました。クッションフロアとの比較によって、用途にふさわしい選択をするポイントも明確になりました。また種類が豊富な長尺シートの中から、目的に合ったタイプを選ぶことで、機能性を最大限に引き出すことができます。木目や石目などの大きな柄はカタログだけではイメージがつかみにくいものです。実際にサンプルを取り寄せる、またはショールームを活用して、触れた時の感触、滑りやすさなどを体感しておくと安心です。素材や価格、機能性、メンテナンス性などをよく比較した上で、快適で魅力的な空間づくりを実現しましょう。

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