床材の選択は空間の魅力を左右する重要な要素です。
家を建てる際やリノベーションをする際、床材の選択は空間全体の雰囲気や使い勝手に大きな影響を与えます。始めに結論を言いますが、見た目やデザインにこだわりすぎず、機能面をしっかり調べておくことが大切です。リビングルーム、キッチン、寝室、バスルーム、玄関、子ども部屋、そして書斎やオフィスなど、それぞれの場所に最適な床材を選ぶことで快適に過ごすことができるからです。
この記事では、場所別におすすめの床材をご紹介します。ぜひ参考にしてください。
目次
床材選びのポイント
どのように時間を過ごすのかを考える
ライフスタイルによって何をくつろげると感じるかは人それぞれです。そこでどのように時間を過ごすのかを考え、最適な床材を選びましょう。
掃除・手入れのしやすさ
人の出入りが多い場所や汚れやすい場所は、日々の掃除をいかに簡単にするかがポイントです。床材には様々な種類があり、それぞれに特性があります。メリット、デメリットを理解したうえでお住まいに合った床材を選びましょう。
壁やインテリアとの調和
心地の良いお住まいに必要なのは全体の調和です。壁、家具、インテリアなどの色や柄、質感など総合的にみて違和感がないか、手持ちのファブリックとの相性はどうか、じっくり考えてみましょう。たくさんの施工例を見て理想をイメージしておきましょう。
床材の種類別の特徴一覧
歩きやすい | 滑らない | 汚れにくい | 掃除しやすい | 補修しやすい | |
フローリング | ◎ | ○ | ◎ | ◎ | △ |
クッションフロア | ◎ | ○ | ○ | ◎ | ◎ |
フロアタイル | 〇 | △ | ◎ | ◎ | △ |
セラミックタイル | 〇 | △ | 〇 | ◎ | 〇 |
カーペット | ◎ | ◎ | × | △ | × |
石 | △ | △ | ◎ | ◎ | × |
畳 | ◎ | ○ | ○ | △ | △ |
コルク | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | △ |
※凡例:◎優れている ○少し優れている △普通 ×劣る
リビングルーム
フローリング
リビングの床といえばフローリングが定番です。ですが、リビングでどのように時間を過ごすのかを考えてみましょう。ソファに座るのか、床に座るのか、スリッパを履くのか、素足でいることが多いのか…それによって選ぶ床材が変わってきます。
過ごし方 | おすすめ床材 |
ソファや椅子に座ることが多い | 硬くて傷がつきにくい床材が◎ |
素足で歩く、寝転ぶことが多い | 温かみのある床材が◎ |
床暖房を入れる | 床暖房対応の床材 |
フローリングには大きくわけて2種類あります。それぞれの特性をみていきましょう。
- 無垢フローリング
木の温かみを感じられる人気のフローリングです。ヒノキ・スギ・パイン材・オーク・ウォールナットなどがあります。天然の木100%で作られており、木の断面がそのままフローリングになるため、唯一無二の質感を味わうことができます。時間の経過とともに色つやが変化するため、使い込むほどに味わい深さがでることも魅力です。 調湿作用があり、夏も冬も快適に過ごすことができます。
デメリットとしては、すき間や反りが生じることがあります。また加工された集成材と比較すると傷がつきやすいことが挙げられます。スギなど柔らかい無垢材であれば物を落とすと床が凹むことがあるので注意が必要です。長く使用するためには、丁寧なメンテナンスが必要です。 - 複合フローリング
複合フローリングは一般に広く普及しているフローリングです。天然木である無垢材の質感には及びませんが、無垢材と比較しても、膨張・収縮が少ないため反りや割れが起こりにくいという特徴があります。傷や汚れに強い商品も出ており、お手入れがしやすく使い勝手が良いです。
ラグやカーペット
ラグやカーペットを敷くことで、足元が柔らかくなり、暖かみが増します。特に冬季は暖房効果も期待できます。床でごろごろしたい方にはぴったり!ただし、適度な通気性を保つために、定期的な掃除やメンテナンスが必要です。 ハウスダストなどのアレルギーが気になる方は、防ダニ加工されたカーペットがおすすめです。
キッチン
キッチンは水や油などの汚れに強い床材が求められます。清潔感を保ちながら、使いやすさも考慮しましょう。
フローリング
多くのご家庭ではリビングとキッチンがつながっていることが多いため、自然とフローリングを選ばれるケースが多いです。近年の複合フローリングには、購入時(新築時)ほとんどの場合UV塗装が施されています。
フロアタイル
フロアタイルは水や汚れに強く、清潔感があります。デザインも豊富で高級感があります。また、耐久性も高いため、長期間利用できるのがメリットです。ただし、硬さからくる足への負担や割れやすさ、油や水が飛んだときのすべりやすさには注意が必要です。また境目から水が浸入する可能性があるので、水をこぼしたらすぐに拭き取りましょう。
クッションフロア(CF)
アパートやマンションなどの場合はクッションフロアが使われることもあります。クッションフロアは水や汚れに強く、クッション性があります。柔らかい足触りと耐久性を兼ね備えており、キッチンで快適に作業できます。フローリングやフロアタイルと比べてもお求めやすく、デザインが豊富です。重いものを置くと凹んでしまうことと、他の床材と比較すると耐久性がやや劣る点がデメリットです。
寝室
寝室はリラックスできる空間であると同時に、快適さも重要です。足触りや断熱性を考慮して床材を選びましょう。一般的にはフローリングが多く使われていますが、こんな選択肢もあります。
カーペット
カーペットは柔らかく、足触りが良いため、寝室に適しています。また、断熱性や防音効果も期待できます。ただし、定期的な掃除やシミの処理が必要です。アレルギー体質の方や小さなお子さんがいる方は、防ダニ加工や抗菌加工されたカーペットもあります。
畳
お布団派の方は畳が落ち着くでしょう。畳の香りに包まれるので、リラックスして眠ることができます。
トイレ・浴室・サニタリー
バスルームは湿気や水に強い床材が必要です。美観だけでなく、安全性も考慮しましょう。家の中でも特に裸足で歩くことの多い場所です。すべりにくく、ひんやりしない床材を選ぶことが重要です。また、カビやヌメリが発生しやすい場所でもあります。お手入れがしやすい床材を選べば、きれいな状態を保つことができます。
クッションフロア(CF)
洗面所・脱衣所でよく使われています。クッション性があり、柔らかい質感です。水がしみこみにくい素材なので、お手入れも簡単です。色やデザインが豊富なので自分の気に入ったものを選ぶことができ、コーディネートもしやすいでしょう。重たいものを置くと凹んでしまう点がデメリットです。
フロアタイル
クッションフロアと同じPVC(ポリ塩化ビニル)ですが、こちらはタイルになっているため適度な硬さがあり、傷がつきにくいです。こちらも洗面所・脱衣所でよく使われています。ホテルのようなおしゃれな質感やデザインにしたい方は、フロアタイルがおすすめです。足元がヒヤっと感じやすいというメリットがあり、スリッパや敷物で対応する必要があります。また、種類によってはタイルの目地に汚れがたまりやすかったり、水が浸入しやすいことがあります。注意して使ってください。
長尺シート(ビニル床シート)
耐久性が高く、浴室でよく使われています。「防滑シート」といって水に濡れた状態で歩いてもすべりにくいものもあります。素足でもヒヤっとすることはないので冬場の入浴も安心。お掃除も簡単です。
サーモタイル
冷たさを感じにくいタイルです。ヒートショックを防ぐことができるのが最大のメリットです。浴室用と洗面用があります。汚れやすいというデメリットがあるため、こまめな清掃が必要です。
磁器(セラミック)タイル
セラミックタイルは水に強く、防水性が高いためバスルームに適しています。また、多彩なデザインや色使いで美しい空間を演出できます。お手入れも簡単です。
玄関
玄関は家の印象を左右する重要な場所です。そして家族だけでなく宅配業者など人の出入りが多く、目につきやすい場所でもあります。掃除しやすく、傷になりにくい床材を選びましょう。
タイル
おそらく1番目にしているのはタイルだと思います。色や模様、柄、大きさ、形などバリエーションが豊富で、和風・洋風などどんな住宅にも取り入れやすい素材です。「セラミックタイル」「テラコッタタイル」などがよく使われています。
セラミックタイルは耐久性が高く、メンテナンスが簡単です。汚れや水濡れが多い玄関にふさわしい素材です。冬場は寒くなりがちな玄関ですが、セラミックは凍結に強いためタイルが膨張して割れることもありません。
テラコッタタイルは自然の土を高温で焼いて固めて作られたタイルで、土ならではの柔らかな色合いが特徴です。素焼きで作られているため、汚れが落としにくく、汚れを吸収しやすいデメリットがあります。そうした汚れも味わいになっていくのが天然素材の良さともいえるでしょう。テラコッタタイルの風合いには惹かれるけれども汚れやすいのには抵抗がある方には、テラコッタ風タイルを採用することをおすすめします。本物のテラコッタタイルのように吸水性がないので、毎日のお手入れはさっと拭くだけで簡単です。
コンクリート
参考:neie
無機質な色合いや質感で、クールでスタイリッシュな印象の玄関になります。耐久性と耐火性に優れています。無垢の木との相性が良いので玄関ホールが無垢フローリングであればおしゃれな空間になるでしょう。
コンクリートによく似た素材にモルタルがあります。こちらはセメントに水と砂を配合したもので、柔らかくアレンジがきくので細かな作業に使われます。コンクリートはモルタルにさらに粗骨材を加えて強度をあげたものです。コンクリートもモルタルも、クラック(ひび割れ)が起こることがあります。
クラックが嫌で、でもこの無骨な雰囲気が欲しいという方は、モールテックスを使うといいでしょう。
石
参考:三菱地所ホーム
自然の雰囲気が出せ、重厚感があることがメリットです。黒やグレー系なら和風の家やお店の玄関に、オレンジっぽい明るい色なら洋風の家によく合います。
子ども部屋
子ども部屋にどの床材を採用するか悩む方も多いと思います。幼少期は親と一緒にリビングなどで過ごすことが多いでしょうから、お子様が小学校に上がって子どもだけの時間になったときのことをイメージしなくてはいけません。小さいうちは汚れや傷に強いこと、すべりにくく安全であることをポイントに選びましょう。リビング学習が浸透しているので子ども部屋は寝室としてしか使わないご家庭も多いかと思いますが、成長してくればより勉強に集中しやすい空間があるのが理想的です。
また、子ども部屋は家族構成やライフスタイルの変化によって将来リフォームするケースがあります。スペースを区切って使ったり、子どもが独り立ちした後に親が趣味の部屋として利用することも考えられます。将来の変化に対応しやすいかどうかも考えておきましょう。
子どもが自分の部屋に興味を持ち始めたら、部屋をどのように使いたいかイメージさせ、一緒にプランニングするのもおすすめです。自分で選んだのだから大きくなっても気に入って使えるでしょうし、一緒に部屋づくりをすることで、お子さんが今どんなことに夢中になっているのかを探るきっかけになるかもしれません。
フローリング
複合フローリングは子ども部屋に向いています。特殊な表面加工で傷つきや汚れに強い加工を施したタイプもあるので、おもちゃなど物がぶつかったときの表面のはがれなどを防ぐことができます。
コルク
特に小さなお子さま~小学生ぐらいのご家庭で採用されることが多いコルク。転んでも痛くない適度な弾力があり、遮音効果もあります。温もりがあり、冬でも歩いたときにひやっとした感じはありません。足ざわりが良く、すべりにくいため安全です。コルクの気泡にはホコリの発生を防ぐ作用があるため、喘息などのアレルギーがある方でも安心です。
タイルカーペット
タイルカーペットは柔らかく、快適な足触りが特徴です。子どもが遊ぶ際のクッション性があり、怪我のリスクを軽減します。また、汚れやシミができても取り外しや交換が簡単で、汚れた1枚だけを洗うまたは交換するだけで済み、清潔さを保ちやすくなっています。ホコリは吸着しやすいのでこまめに掃除機をかけましょう。
クッションフロア
耐久性があり、水や汚れに強いので、お掃除もらくらく。特にお子さんが小さいときにはぴったりです。柔らかい足触りがあり、子どもが遊ぶ際のクッション性も優れています。デザインも豊富なのでお子さんの好みに合わせておしゃれな空間にすることができます。お求めやすい価格なので、数年ごとに交換すればそのときのテイストに合った部屋にできます。
書斎・オフィス
書斎・オフィスの床材は快適性だけでなく、ビジネス環境にも適したものが求められます。リモートワークの拡大により、以前より書斎・オフィスを快適な環境にしたいと考える人が増えています。効率的な作業をサポートする床材を選びましょう。
フローリング
迷ったらフローリングにしておけば間違いないといわれるほど万能な床材です。仕事や趣味がはかどるような色合いやデザインにしたいものですね。
畳
意外かもしれませんが、畳はかなりおすすめです。掘りごたつにして窓際にカウンターを作ればおしゃれで疲れない快適な書斎ができます。落ち着いて仕事をすることができ、休憩時間にちょっとお昼寝するときにも最適です。リフォームの場合にも1階であれば掘りごたつにすることは可能です。
タイルカーペット
タイルカーペットは快適な足触りと防音効果があります。また、取り外しや交換が容易なため、オフィス環境においても使いやすいです。キャスターなどの傷から守ることができます。パイル長が短いもの、遊び毛が出にくいタイプだとキャスターが比較的スムーズに動きます。
落ち着いた色を選ぶことが多いですが、自分が1番集中できると感じる色を選ぶのがいいでしょう。
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まとめ
誰だって安く家を建てたい、コストを変えずに少しでも良い家にリフォームしたいと思うでしょう。だからといって床材を安いもので済ませることはおすすめしません。費用を安くするための選択が、光熱費のやたらかかる家だったら?傷ができやすい、メンテナンスが大変なストレスの多い家だったら?床だけは、お金をかけて始めにしっかりしたものを作ることを強くおすすめします。特にフローリングは頻繁に張り替えるものではないので、気に入らなければやり直せばいいというわけにはいきません。自社で施工できる会社にお願いすれば、ハウスメーカーや工務店に依頼するのと比べてお安く施工できます。
床材の選択は空間の魅力や快適さを左右します。場所や用途に合わせて最適な床材を選ぶことが重要です。この記事では、各場所におすすめの床材を紹介しました。それぞれの特徴や利点を理解し、空間に合った床材を選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。床材の選択は空間全体の印象や使い勝手に大きな影響を与えるため、慎重に検討してください。WEB、Instagram、Pinterestなどでイメージを膨らませて、見た目も機能も自分好みの、快適なおうちを手に入れましょう。